月光天文台月光天文台

公益財団法人 国際文化交友会 月光天文台

御殿場市ニノ岡-二岡神社
トップページ > 見聞録 > 『七人の侍』-黒澤明監督に敬意を表して(その5)


ニノ岡(静岡県・御殿場) 二岡神社

『七人の侍』-黒澤明監督に敬意を表して(その5)(見聞録のタイトルは『七人の侍』-ロケ地を訪ねる
(その5))では、ニノ岡(静岡県・御殿場)を取り上げます。

黒澤明監督と御殿場市とは深い関係があり、黒澤作品の特に時代劇映画で御殿場市はしばしばロケ地
に選ばれています。一方で、その背景に大きく映える富士山が描かれたものは少なく、晩年のカラー
作品である『夢』くらいにしか、富士山はとらえられていません。

それはある意味、ロケ地を特定させない(特に『七人の侍』は舞台の村がモンタージュされている)と
いう考え方によるのかも知れません。

御殿場市ニノ岡は、当初から探すべきロケ地の候補の筆頭に挙がっていましたが、該当する場所が良く
分からず、確かめるために何度か足を運んだものの、確証を持てずにいた場所でした。

しかしようやく、このたび確認ができたため、取り上げることができることになりました。

「その3」でも一度取り上げていましたが、その画像に写る桜の背後に伸びる小径がカギでした。



ここは、映画では野武士の集団との決戦が迫るとき、島田勘兵衛(演:志村 喬)が「主力はきっと
ここから圧してくる」と断言し、片山五郎兵衛(演:稲葉 義男)の問いかけに「良い城はきっと、
隙が一つある。そこに敵を集めて戦う。ただ守りを固めるだけでは、城は守れん」と村の防衛
のかなめが村の北側の回廊にあることを説く場面に出てきます。

または、五郎兵衛が野武士の持つ3挺の火縄銃・種子島を1つでも潰しておきたい、という指摘に
まず利吉(演: 土屋 嘉男)が「おらが獲ってくる」と勘兵衛に申し出たところを久蔵(演: 宮口 精二)
が思いとどまらせ、闇夜に乗じて駆けていき、種子島1挺を捕獲し、野武士2人を斃したことを告
げる場面にも出てきます。

上の画像は、手前側の杉に村人や侍たちが身を隠し、松明のあかりに奥の方の様子をうかがう場
面に出てくる場所です。ここで村人たちは竹槍で槍襖(やりふすま)を作り、1騎か2騎、野武士を
村の辻に誘き入れ、少しずつ野武士側の戦力を殺いでいきます。



映画では、かなり距離があるようにも見えるのですが、二岡神社の拝殿がある辺りでこの山の奥
の方に伸びているように見える坂は広場の様になり、神社の境内に繋がっています。敢えて余り
奥の方にカメラの視点が行かないようにして、山奥に細い道がつながり、そこから野武士たちが
やってくるように見える演出をしていた、という訳です。



せっかくですので、二岡神社の拝殿もここにご紹介しましょう。

北駿地方では最も由緒ある神社の1つで、境内には大森道光が応永29(1422)年に寄進した北駿
で最古の石灯籠もあり、樹齢数100年に達する杉の大樹も複数あるなど、歴史を感じさせる神社
です。また、これだけ立派な杉の木があるゆえに、『七人の侍』の中でも重厚な場面が撮られた
ともいえるでしょう。



周辺情報…御殿場市平和公園はこの付近です。有名な名所という訳ではありませんが、SBSマイ
ホームセンター御殿場付近の道路は桜通りになっており、4月下旬-5月上旬になると桜並木に咲く
桜の花が見事です。
長尾峠から箱根・仙石原に向かうルートもこの付近です。


(この項、その6に続きます)


報告者: U.M. (月光天文台)


参考文献: 下記

『七人の侍』創作ノート(黒澤 明・著/野上 照代・解説/文藝春秋・刊)
『もう一度天気待ち』(野上 照代・著/草思社・刊)
『黒澤明と「七人の侍」』(都築 政昭・著/朝日文庫・刊)
『黒澤明 全作品と全生涯』(都築 政昭・著/東京書籍・刊)
『複眼の映像』(橋本 忍・著/文春文庫・刊)
「映画を愛した二人」黒澤明・三船敏郎(阿部 嘉典・著/報知新聞社・刊)
『クロサワさーん! 黒澤明との素晴らしき日々』(土屋 嘉男・著/新潮文庫・刊)
『評伝 黒澤明』(堀川 弘通・著/ちくま文庫・刊)

DVD『七人の侍』(黒澤明・監督/東宝株式会社)





picup