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箱根・仙石原姥子
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仙石原・姥子(神奈川県・箱根)

『七人の侍』-黒澤明監督に敬意を表して(その4)(見聞録のタイトルは『七人の侍』-ロケ地を訪ねる
(その4))では、仙石原・姥子(神奈川県・箱根)を取り上げます。

これまでに、「その1」で『七人の侍』の舞台となる村の全景のロケ地、「その2」ではその村にたどり
着くまでの途中の道、「その3」では村の東・南・西と野武士の山塞に向かう途中の谷間のロケ地を
それぞれ取り上げてきました。

今回、「その4」では村の残った方角の北側または村の裏手にある山の中の榕樹*(ようじゅ-ガジュマル
の漢名)の森にあたる場所がメインとなります。

*榕樹…ここでいう榕樹とは、本来ならば鹿児島県の種子島や屋久島など、南西諸島などの亜熱帯・
熱帯に自生するガジュマルではなく、似たような形態のイチジク属の樹木を指しているとみられる。

『七人の侍』の中では唯一、村娘で万造(演:藤原 釜足)の一人娘である志乃(演:津島 恵子)との恋愛
模様が描かれ、映画に彩りを添えています。万造は自分の一人娘が侍たちと恋愛関係になるのを恐
れて志乃の髪を切り、男装をさせたため、村人たちに不安を抱かせる原因を作ってしまいます。

7人の侍の中では一番若い岡本勝四郎(演:木村 功)が志乃と恋仲になり、逢瀬を重ねたのが村の北側
に設定された箱根・仙石原にある森の中でした。

二人が逢瀬を重ねた仙石原には、花畑を作るためにトラックで花を運び、スタッフの手で植えて収録
するということを繰り返したそうです。花は枯れてしまうため、来る日も来る日も花を植えかえ、2
週間で15トン近い花を運びこんで植えたのだとか。

また、村の防衛が進み、麦などの収穫を終えて一息ついたところで野武士の物見が3名やってきて、
村にその防衛を指揮する侍がいることを見破られたため、物見を捕まえるべく待ち伏せしたのも同じ
仙石原・姥子です。

捕まえに行った侍たちは久蔵(演:宮口 精二)、菊千代(演:三船 敏郎)、岡本勝四郎(演:木村 功)、物見
(斥候)は上田 吉二郎(A)・谷 晃(B)・中島 春雄(C)でした。

当然、そのような場所を見つけるのは実質的に不可能であり、今回の訪問地は"雰囲気が似ている近隣
の範囲にある場所"という理解でお願いします。



今回取り上げる仙石原・姥子へ行くのには、少々難儀しました。筆者のU.M.は基本的に余暇を
利用してこうした場所を訪れているため、出かけられるのは週末の天気の良い日に限られます。
箱根は観光地ですから、行楽シーズンとなる夏や秋の週末は、仙石原付近を通過する県道735
号線では相当な渋滞が起きており、その付近にまで行ければまだ良い方、という状態でした。

映画に出てきた場面に雰囲気が似ていると感じたのが上に掲げた画像です。735号線沿いの脇
に「榕樹の森」が広がっていました。こんな感じの場所で映画が撮られていたのです。



『七人の侍』の劇中の場面が収録されたロケ地としては、仙石原・姥子が一番当時の光景を良く
残していると言えるかも知れません。山間地の深い森の中ゆえに、開発が遅れていて、そのため
にこの様な場所が残っていると言えるのでしょう。



現在では、箱根ロープウェイが桃源郷-強羅間をつないでおり、この姥子でも停車・乗降ができる
様になっています。まだU.M.は利用したことはありませんが、ロープウェイのゴンドラから見下
ろす箱根の様子はなかなか良いようで、いつか利用してみたいと思っています。



周辺情報…箱根の大涌谷や芦ノ湖はこの付近です。仙石原温泉はこの場所からは台ヶ岳を挟んだ裏
側にあたる位置です。箱根ロープウェイの姥子駅が当ロープウェイの最寄り駅です。


(この項、その5に続きます)


報告者: U.M. (月光天文台)


参考文献: 下記

『七人の侍』創作ノート(黒澤 明・著/野上 照代・解説/文藝春秋・刊)
『もう一度天気待ち』(野上 照代・著/草思社・刊)
『黒澤明と「七人の侍」』(都築 政昭・著/朝日文庫・刊)
『黒澤明 全作品と全生涯』(都築 政昭・著/東京書籍・刊)
『複眼の映像』(橋本 忍・著/文春文庫・刊)
「映画を愛した二人」黒澤明・三船敏郎(阿部 嘉典・著/報知新聞社・刊)
『クロサワさーん! 黒澤明との素晴らしき日々』(土屋 嘉男・著/新潮文庫・刊)

DVD『七人の侍』(黒澤明・監督/東宝株式会社)




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