☆第6回世界のこよみ展の概要
○形態
壁掛け型(82点)が最も多く、卓上型(25)、ダイヤリ型(3)となります。卓上型の中で新しい形式としてはCDケースに入ったものが3点ほどありました。
また壁掛け、卓上ともに1画面での表示単位は、多い順に、毎月(47)、1年分(21)、2ヶ月ごと(17)、毎週(13)、3ヶ月ごと(8)、半年ごと(2)、2年分(1)などです。
変わったものではアルジェリアのカレンダーで、月の前半と後半で分けています。またスリランカの卓上型には、写真を変えて各月2枚というのもありました。ウズベキスタンのカレンダーは、2年使えるようになっています。
○素材と印刷
エジプトのパピルスを用いたカレンダーが目をひきます。これは乾燥すると反ってきます。ほかに和紙風のネパールの暦、アルミ箔のようなヨルダンのカレンダーもあります。中国のものは写真を大判のフィルム状の素材にプリントしてあり、暦と切り離しての使用もできそうです。
印刷では金、銀の色を使ったイスラエルのカレンダーが凝った作りです。
○テーマ
大使館などを通して入手したものは外務省・観光局などが作った暦らしく、各国の風物や文化を紹介したものが中心となります。同様に立派な暦を作るのは銀行、航空、運輸などの主幹企業です。ブラジルのカレンダーでは、日本語で「○○不動産」などと書かれていて日系人の存在を想起させます。フランス大使館のダイヤリは、フランスを案内するCD付です。
インドのカレンダーには、世紀の節目らしい「歴史を変えた瞬間」をテーマにしたものがありました。
○週の休日
ほとんどの国は日曜が休みです。熱心なイスラム教国は金曜が休みです。週休2日は中国(土日)、ブルネイ(金日)、バングラデシュ(金土)、ミャンマー(土日)、アラブ首長国連邦(木金)、ルクセンブルグ(土日)、オーストラリア(土日)などです。インド・ベラルーシの暦とされる中には土日が休みのものがありました。
○週の初め
暦それぞれですが、週の初めは日曜(49)、月曜(39)、金曜(1)、土曜(1)、不明(20)です。ヨーロッパ・ロシアは月曜から始まるのが普通です。アジアでもスリランカは、ほぼ月曜から始まります。
○月の位相
スリランカの暦には、休日となる満月(ポヤ・ホリデー)が必ず記載されています。さらに役所や銀行などが休日となるバンク・ホリデー、および市場などの休日のマーカンチール・ホリデーの3種の休日が律儀に記載されています。
中南米の暦には月の朔・望・上弦・下弦が書きこまれる例が多くなります。ヨーロッパではチェコやスペインがそうです。中南米に広がったラテン系の文化圏は、屋外が有力な生活の場になっているため、月の位相が記載されるともいわれます。
○表記言語
ヨーロッパでは暦の使用対象を国外に想定すると、すぐ数ヶ国の言語で曜日などを表記することになります。
オーストラリアのカレンダーは独、英、仏、スペイン、日本、中国の言葉で解説しています。スイスのものは英、独、仏、伊、スペイン、ポルトガルの6ヶ国で曜日を書いています。
イスラエルの外務省製作の暦には、公用語のヘブライ語と英、独、仏、スペインの各言語で曜日を書いています。
アジア、中近東、アフリカなどでは現地語に英語が併用されます。英語だけで書かれる場合も少なくありません。アフリカなどでかつての宗主国がフランスの場合は、やはりフランス語との併記になります。
ベラルーシ(白ロシア)はもちろんロシア語です。ウズベキスタンになるとウズベク語と英語・ロシア語を併用します。スロベニアも独自の言語を持っています。
中南米はもっぱらスペイン語ですが、ブラジルだけはポルトガル語です。
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□紀元
西暦2000年の春には、イスラム暦1421年が始まります。このように暦によって異なる、年を数えはじめる起点が「紀元」です。今回の暦展にも関係すると思われる主な紀元をまとめてみます。
キリスト生誕紀元(西暦) 2000年
元号(日本・平成) 12年 (元年=西暦1989年)
神武天皇即位紀元(皇紀) 2660年 (元年=紀元前660年)
中華民国紀元(台湾) 89年 (元年=西暦1912年)
ヒジュラ紀元(イスラム暦) 1421年 (元年=西暦622年7月16日)
ジャラリー紀元(イラン) 1379年 (元年=西暦622年)
創世紀元(ユダヤ暦) 5761年 (元年=紀元前3761年10月7日)
仏滅紀元(仏暦) 2543年 (元年=紀元前543年)
サカ紀元(インド太陽暦) 1922年 (元年=西暦78年)
檀君紀元(韓国) 4333年 (元年=紀元前2333年)
主体(チュチュ)紀元(北朝鮮) 89年 (元年=西暦1912年)
?紀元(ミャンマー) 1362年 (元年=西暦639年)
?紀元(バングラデシュ) 1407年 (元年=西暦594年)
キリスト生誕紀元は、6世紀のローマの修道士エクシグウスが提唱した、キリストの誕生(と想定される年)から数える方法です。この数え方がヨーロッパで広まったのは、はやくとも10世紀以降といわれます。
元号の最初は、前漢の武帝(BC156-BC87)が、即位した年を「建元元年」としたのが始まりといわれます。日本では645年に「大化」という元号が建てられましたが、元号制度が定着したのは701年の「大宝」からで、以後1300年にわたり続いています。
神武天皇即位紀元は、日本国の最初の天皇となる神武天皇が、奈良の橿原宮で即位された年を起点としています。
中華民国紀元は、中国の辛亥革命で清王朝がほろび、中華民国が成立した1912年を元年とします。太陽暦もこのとき採用されました。日本で太陽暦が採用されて40年後のことです。
ヒジュラ紀元は、イスラム教の開祖マホメットが、迫害を逃れてメディナに移住した(聖遷・ヒジュラ)年を起点とします。イスラム暦は、1年が季節の1年より短いため西暦2000年に1421年を迎えますが、イスラム太陽暦のイランのジャラリー暦では、3月の春分の日から1379年となります。
創世紀元は、ユダヤ教のいう「神が天地を創造したとき」を元年とします。ユダヤ暦の新年はテシュリ月(9月頃)に始まります。
仏滅紀元は、仏教の開祖・釈迦がなくなったとされる年を元年とします。スリランカ、ラオスなどで用いられます。
サカ紀元は、西暦1957年3月22日をサカ暦1879年カイトラ(1月)1日として実施されたインドの紀年法です。
檀君紀元は、朝鮮の伝説上の始祖・檀君の即位を元年とします。
主体紀元は、「主体」思想を唱えた金日成の生まれた年が起点です。
ミャンマーとバングラデシュおよびインドの一部の紀元は、資料がなく良くわかりません。
(いずれの紀元も、西暦2000年のうちにその年を迎えるという意味です)
○併記される暦
現在世界の共通の暦はグレゴリオ太陽暦です。したがって独自の暦を持つ場合でも、グレゴリオ暦との併記という形になります。
イスラエルでは月の暦のユダヤ暦が併記されます。ユダヤ暦はイスラエルの公用暦で、独立記念日などほとんどの祝日が、グレゴリオ暦では毎年日付が変わってきます。
同様にシリア、アラブ首長国連邦、ブルネイ、バングラデシュ、インド(一部)などでは、太陰暦のイスラム暦が併記されます。併記されない場合でも、インドネシア、シンガポール、マレーシアなどの国ではラマダン(断食月)明けの祭日、モハメッド誕生日、犠牲祭などが祝日となります。アジアでもイスラム教の影響を受けている国が少なからずあります。
中国やベトナムでは、いわゆる陰暦が併記され、陰暦の正月が祝われます。
インドでは、インド太陽暦ともいわれる3月22日(平年)または3月21日(閏年)に始まるサカ暦が併記されます。インドは多様性の国というかイスラム暦やサカ暦、そして7月に1175年から1176年に変わる暦なども記載され、一つの枠に4つの日付が共存しているものもあります。
春分の日(3.20)に始まるといえば、イランのジャラリー暦で、これはイランの公用暦です。春分の日は、年により1日ほど前後します。
またタイのソンクランなどには、4月の半ばに新年を迎えるベンガル暦新年の影響が見られます。
カンボジア(4.13〜15のいずれか)、ラオス(4.15)、ミャンマー(4.16)、バングラデシュ(4.14)、インド(一部)、ネパールなどでも祝日となりますが、日付は微妙に違っています。
ラオスの暦では、3月まで兎のイラストがあり、4月から竜のイラストにかわり、年の干支とおもわれます。
スリランカでは4月13日をシンハラ・タミル新年としています。
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○海外出品国 55ヶ国
a.ヨーロッパ 15
スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、オランダ、チェコ、オーストリア、スペイン、フランス、イタリア、スイス、ギリシア、ルクセンブルグ、スロベニア、ウクライナ、ベラルーシ
b.アジア 15
中国、ブルネイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、インド、ネパール、韓国、ウズベキスタン
c.中近東 6
シリア、イスラエル、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダン
d.アフリカ 7
エジプト、アルジェリア、ナイジェリア、ケニア、モーリタニア、コートジボアール、南アフリカ
e.オセアニア 4
パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージランド、フィジー
f.アメリカ 8
カナダ、ジャマイカ、キューバ、ニカラグア、エクアドル、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジル
財団法人国際文化交友会主催の第6回世界のこよみ展は、西暦2000年の4月29日から5月31日まで開催されました。
駐日各国大使館および財団法人オイスカのご協力をいただきました。
☆4月25日:ウズベキスタン大使館・1等書記官ご一家視察来台
ウズベキスタンの在日大使館の1等書記官・ムザファール氏ご一家4人が、今日「世界のこよみ展」の視察のため来台しました。通訳をかねて2人のオイスカ・スタッフが同行しました。
天文台では、29日の「世界のこよみ展」公開に向けて準備中でしたが、やや早めに展示作業を行い、お迎えしました。ご一家はおよそ2時間にわたって、熱心にご覧になり、また持参のビデオに収録しました。このビデオは同国の国営放送で、放送される可能性があるとのことです。さらに同国内でも、おなじような世界のこよみ展を企画しているとのことです。
好天に恵まれ、八重桜のむこうに富士山が姿を見せ、ウズベキスタン国との良き交流の機会となりました。