第11回 世界のこよみ展リポート
○期間:2005年4月17日(日)〜5月31日(火) ▲木曜休館
ミャンマーのカレンダー(部分)
「タナカ」を塗った少女
世界のカレンダーを見よう
ポスター
○世界40の国・地域・国際機関のカレンダー70点余りを、一堂に展示
○会場:月光天文台・本館
☆主催:(財)国際文化交友会
☆協力:駐日各国大使館 ・財団法人オイスカ ほか
◎ご協力いただいた皆様に厚く御礼申し上げます
○「第11回世界のこよみ展」では、40の国と地域・国際機関より約100部あまりのカレンダーが集合しました。
カレンダーに使われる画像は、絵画にしろ写真にしろどれも選び抜かれたもので、一種の美術的感慨をあじわえます。世界のこよみ展は、暦法の比較だけでなく、各種イメージの競演としても楽しめます。
暦の面から見ると今年は以下のようになります。
・ユリウス暦制定−2050年
・日本で初の正式年号「大化」制定−1360年
・最初の日本製カレンダー「貞享暦」施行−320年
・2番目の日本製のカレンダー「宝暦暦」施行−250年
・暦書発行の自由化−60年
歴史から見た2005年
今回の世界のこよみ展に出品されたカレンダーから、地域別にいくつか紹介します。
○日曜日が週の初め
○陰暦が併記されることがある
・中国の切り絵のカレンダー
中国大使館からは毎年、切り絵の手の込んだカレンダーが提供される。今年は十二支の動物が描かれている。土日曜休みの週休2日制。2005年の春節(中国新年)は2月9日。
・韓国の天文カレンダー
韓国からは例年天文カレンダーが提供される。毎日の月の朔望が図示され、天文現象がハングル文字で示されている。
最近の韓国のカレンダーは、中国の陰暦は最小限の記載で、また漢字もあまり使われていないようにみえる。中国離れというのだろうか。ただ漢字を読めない若者世代ができると、古典も読めなくなる。
・台湾のカレンダー
1911年、中国で日本の明治維新にならった辛亥革命が起き清朝がほろびた。翌年正月、この革命を率いた孫文は中華民国の成立を宣言した。中華民国紀元は、この1912年を元年としている。西暦2005年は中華民国紀元94年。これは日本の大正元年から数えた年数に等しい。つまり中国は、日本の明治維新より約45年も遅れて近代化を始めた。
孫文の率いる中国国民党は、中国共産党との抗争に敗れて台湾に逃れ、台湾の支配層となった。現在大陸は共産党が独裁し、台湾は選挙で選ばれた政党が政権を握るという、政治体制の異なる2つの中国という結果になっている。
・モンゴルのカレンダー
モンゴルはかつて中国の漢字に似た縦書きのモンゴル(蒙古)文字を使用していた。1911年に辛亥革命が起きると、モンゴルはラマ教の第8代活仏を元首として清からの独立を宣言した。しかし実際はロシアの保護国のような状態になった。1917年、ロシアに十月革命(共産党革命)が起きると、その影響を受けてモンゴル人民党が結成され、1924年に活仏が死ぬとモンゴル人民共和国が宣言された。1931年に満州事変が起きると、しだいに日本の満州進出が顕わになった。
第2次世界大戦が終わる(1945年)とモンゴルは正式に中国から独立し、文字改革としてロシアのキリル文字を導入した。しかしソ連邦が崩壊して冷戦が終わると、1992年、モンゴル国と改称して民主主義体制となった。文字についての見直しも行われているが、海外向けカレンダーはおもに英語で書かれている。
・チベットのカレンダー
チベットには月の朔望にもとづく独自の暦がある。ひと月の始めが新月となる中国の陰暦に対し、チベットの暦はひと月の最後が新月となる。さらにインドのヒンズー暦のように同じ日付が2日続いたり(余日)、日にちをとばしたり(欠日)する。
チベット暦ウッド・バード・イヤー(乙酉年)は、西暦2005年2月9日から始まり、2006年2月27日に終わり、陰暦13ヶ月の閏年となる(中国暦は平年)。ひと月の日数は29日と30日の2種類あるが、毎月の最終日は必ず30日となっている。ただ第13月のみは、実際の日数と同じ29日で終わっている。
チベットカレンダーはチベット文字で書かれ、土日が休みの週休2日制、紀元は2132年である。
・シンガポールのカレンダー
マレー半島の先端、おもに中国系の人々が構成する国がシンガポールである。シンガポールの発展は、1819年、イギリスがその立地条件の重要性に注目し、直轄地として自由貿易港にしたことに始まる。やがて中国華南からの住民が増えていった。第2次大戦中は日本に占領された。戦後、1963年にマレーシア連邦が発足すると、その1州として積極的に加盟したが、マレー人優遇政策に反発して脱退、1965年に英連邦の共和国として独立した。カレンダーには中国の新年などが記載される。
・マレーシアのカレンダー
マレーシアはマレー半島の南部とカリマンタン島の北部サバ州、サラワク州などからなる。マレー(マライ)語が使われ、マレー語はアルファベットで表記される。1981年、当時のマハティール首相は、民族融和と日本や韓国を見習うという「ルック・イースト」政策を打ち出した。カレンダーには各州の祭日や中国新年、釈迦の生誕祭、断食月の始まりなどが書かれている。
・タイ王国のカレンダー
タイのカレンダーはタイ(シャム)文字で書かれることがある。西暦紀元とともに仏滅紀元(2005年は2548年)が用いられる。4月なかばに伝統的新年とされる水掛祭り(ソンクラン)が行われる。
・ミャンマーのカレンダー
1989年、ビルマ連邦はミャンマー連邦に国名を改めた。ミャンマーのカレンダーはタイのカレンダーと似ている。
今回はミャンマーのホテル観光省発行のカレンダーが出品された。タナカという木の粉を顔に塗った素朴な人々が写真に写っている。この暦にはミャンマーの祝日に加え、日米露印の祝日が掲載されている。なにかすごい気配りが感じられる。
・スリランカのカレンダー
インドの南の島。1505年、ポルトガル人がコロンボに商館を建設した。その後オランダが植民地として支配した。19世紀にはイギリスがオランダからこの島を奪い、ゴム園や紅茶農園を経営した。第2次大戦後の1948年、イギリス連邦内の自治国として独立。シンハラ人とタミル人の深刻な争いが続いている。
ヨーロッパに支配された歴史が長いためか、ヨーロッパ式に日曜を週末にもってくる。バンクホリデー(銀行休業日)がイギリス以外の国で記載されるのは、おそらくスリランカだけだろう。
仏教に関連して満月の日を公休日(ポヤホリデー)とする。行政のパブリックホリデー、ポヤホリデー、バンクホリデー、そして市場などが休みとなるマーチャントホリデーと4種類の休日が、それぞれの記号で律儀に書かれている。
・インドのカレンダー
今回はインド航空のカレンダー。北部インド独特のデーバーナーガリー文字と英語で曜日が書かれている。
・ブータンのカレンダー
ブータンからは初めての出品。2点のいずれも中央に仏教(ラマ教?)の祭神らしき像が描かれている。日付の文字はチベット暦と同じで、グレゴリオ暦に陰暦を併記している。
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・ブータン王立保険会社のカレンダー
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・チベット暦が併記されている
16日と17日は同じ日付になっている
・ウズベキスタンのカレンダー
ウズベキスタンの首都タシケントはシルクロードの中心地である。ウズベキスタンからは多くのカレンダーが届いた。なかでも大きいのがモスク(イスラム寺院)をテーマとしたもので、迫力がある。
イスラム教の国は週末が金曜日
アラビア語とペルシャ数字が使われる
・オマーンのカレンダー
上質の写真コート紙が使われている。グレゴリオ暦のみであるが、1週間は土曜日から始まり、週末は金曜日。イスラム教徒にとって金曜日はモスクでの集団礼拝の日。表記は英語。写真では岩の多い荒涼とした土地が目に付き、緑がいかに重視されているかわかる。
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・金曜が週末になるオマーンのカレンダー
・サウジアラビアのカレンダー
アラビア航空のカレンダーには、写真の左右に普通のアラビア数字とペルシャ数字で日付が縦に書かれている。べつの横書きのものは、イスラム暦が主で、グレゴリオ暦が付記されている。西暦2005年2月10日が、ヒジュラ紀元1426年の新年となる。
・シリア観光省発行のカレンダー
シリアの古代遺跡などをテーマとしている。平日は黒で、金曜は赤、日曜は青で書かれている。
・イスラエルのカレンダー
一つは現地で販売されているものを入手。イスラエルの行事などが絵で表されている。2004年9月から2005年9月までの13ヵ月分の暦。9月はユダヤ暦の新年のころである。週末はサバット(安息日)と呼ばれる土曜日。
もう一つはイスラエル国防省のもので、「イスラエル・ファミリー・アルバム」と題した立派なもの。文化的な事柄もイスラエルでは国防に直接かかわっているということだろうか。
・パレスチナのカレンダー
初めての出品になる。ヘルス・ワーク・コミッティによる手作りのもので、素朴さが目立つ。イスラム色はなく日曜始まりの日曜休日。
野生動物が豊富
英語かフランス語で表記し、北部ではアラビア語
・ケニア観光省のカレンダー
観光客誘致のカレンダーが毎年提供される。野生動物の観察というのか、大蛇が草食動物を襲っているシビアな写真もある。笑顔の東洋人女性の一団が、現地の家を訪れている写真は目新しい。
・エチオピアのカレンダー
9月11日に始まるエチオピア独自のカレンダー(アムハラ文字)が主で、グレゴリオ暦が併記されている。エチオピア女性の髪型もユニーク。
・エチオピアのカレンダー
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・アムハラ文字で9月11日が新年
・ガーナのカレンダー
1月の写真はガーナ大統領、2月は神にお神酒を捧げる人(祭祀の最高位者?)という、ガーナ国立文化局のカレンダー。
・スーダンのカレンダー
2002年のもので、イスラム暦の日付けが緑色で、その左にグレゴリオ暦の日付けが赤で書かれている。曜日はアラビア語で右から左へ並ぶ。
・ガボンのカレンダー
駐日ガボン大使館発行の日本の暦。ガボンはアフリカ大陸西岸の赤道直下の国。
・タンザニア国立公園のカレンダー
「タンザニアの色」という題で、タンザニア国立公園の生き物を、大きな紙面に渋い色合いでまとめている。一見の価値あり。なぜかオランダのタンザニア共和国領事館の発行。
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・タンザニア国立公園のカレンダー
・ジブチ中央銀行のカレンダー
ジブチはアラビア半島南端のイエメンの向かいにあるアフリカの国。ヨーロッパ風建築物の写真。フランス語で曜日が書かれ、週末は金曜。歴史を見ると、やはり1977年にフランス領ソマリ海岸から独立していた。アフリカのカレンダーの文字は旧宗主国の言語が用いられることが多い。
・ジンバブエのカレンダー
かつての南ローデシアで、現在は黒人政権の国。1年分のパブリックホリデーとスクールカレンダーが掲載されている。
・週末が日曜日
・多言語で書かれることがある
・ドイツのカレンダー
ドイツが自国をアピールするために作った英語の卓上カレンダー。週ごとにドイツの文化や産業などさまざまな場面が紹介されている。ヨーロッパのほかの国と同じように週末は日曜日。
・スイスの観光カレンダー
横長の紙面にスイスの美しい風景が楽しめる。
・ハンガリーのカレンダー
ハンガリーの首都ブタペストをテーマとしたもの。ハンガリーはアジア系遊牧民のマジャール人が建てた東欧の国。カレンダーの曜日はハンガリー(マジャール)語と英語とドイツ語。
ネームデーといって、その日に生まれた赤ちゃんの名付けの参考として、毎日一人か二人の名前が書かれている。
・ハンガリーのカレンダー(週末は日曜)
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・毎日名前が書いてある 左端は週の番号
・オランダのカレンダー
オランダを正式にはネーデルランドという。食材などをテーマとしたカレンダーで、オランダ語だけで表記。
・スペインのカレンダー
イルカをテーマとしている。スペイン語表記で月曜始まりの日曜休日。ブラジルを除く中南米は、すべてスペイン語が話される。この暦の曜日はスペイン語のほかに英独仏伊ポルトガルの6ヶ国語で書かれている。
・ノルウェーのカレンダー
毎年提供されるノルウェーの美しい自然や行事を描く卓上ウィークリーカレンダー。曜日が英仏スペイン独、そして最後にノルウェーの5ヶ国語で書かれている。自国語を最後に位置付けて謙虚である。
・フランスのダイアリー
フランス大使館からは立派なダイアリーが提供された。表記はフランス語と日本語。フランスの壁掛けカレンダーはまだ見たことがない。
・イギリスのカレンダー
昨年につづきフェレット(イタチの仲間)をテーマとしている。日曜始まりで土日が休日となっていて、イギリス製ではないもよう。祝日としてイギリスのほかアメリカ、カナダの行事も掲載されている。月名・曜日の表記は英仏独伊ポルトガルの5ヶ国語。占星術の12星座の期間も書いてある。
・豊かな自然と文化の融合
・ジャマイカのカレンダー
例年のように卓上組み立て型のカレンダーを出品。ジャマイカの透明な海が広がる。
・チリのカレンダー
自然風景のカレンダー。8月に氷山!南半球では季節が逆になっていることに注意。
・ウルグアイのカレンダー
2004年7月から2005年6月までの半年ずれた不思議なカレンダー。
アジア 14
インド、ウズベキスタン、シンガポール、スリランカ、タイ、チベット、ブータン、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、韓国、台湾、中国、日本
ヨーロッパ 8
イギリス、オランダ、スイス、スペイン、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フランス
アフリカ 9
エチオピア、ガーナ、ガボン、ケニヤ、ジブチ、ジンバブエ、スーダン、タンザニア、リビア
中近東 5
イスラエル、オマーン、サウジアラビア、シリア、パレスチナ
中・南アメリカ 3
ウルグアイ、ジャマイカ、チリ
国連・国際機関など 1
IFDA(国際農業開発基金)
・第6回世界のこよみ展
・第7回世界のこよみ展
・第8回世界のこよみ展
・第9回世界のこよみ展
・第10回世界のこよみ展