「奇しびなる生命の連鎖」
− 宇宙から人間へ −
第1章 生命の起源としての大宇宙
宇宙からの訪問者(1)
今年(1994年)7月後半、木星にシューメーカー・レビー第9彗星が衝突する…。千年に一度あるかないかといわれるほどの出来事に、私たちはもうすぐ遭遇しようとしています。木星は私たちのすむ地球と同じ太陽系の一員であり、当然のこと、天文マニアのみならず一般の人びとにも非常に興味をそそっており、現在、世界中で大きな話題となっています。

シュユーメーカー・レビー第9彗星(SL9):HST・NASA
(HST:ハッブル宇宙望遠鏡)
(NASA:アメリカ航空宇宙局)
この衝突では、なんと広島型原爆の一千万倍から十億倍ものエネルギーが放出されるといわれていますが、残念ながらその瞬間は地球から見ると木星の裏側で起きるため、直接見ることはできません。しかし、木星は地球の約11倍もの大きな半径を持つにもかかわらず、わずか9時間56分で自転しているため、4時間ほど後には木星の中央付近に衝突地点を観測することができます。いったいどのような変化が起きるか、興味深く見守っています。ただ専門家によりますと、彗星の非重力効果のために衝突しない可能性もわずかながら残っているということです。

SL9の衝突の跡:HST・NASA
SL9は1994年7月17日から22日にかけて、
次々と木星に衝突した。
1992年12月のはじめ頃、直径約1キロメートルと推定される小惑星トータティスが、地球に最接近するという現象がありました。最接近とはいっても、地球と月の距離の約10倍とのことでしたが、2004年にはこの小惑星が地球の引力圏に入る可能性がある、と警告した科学者もおりました。しかし、2004年9月に再び最接近するにしても、ある専門家の試算では、トータティスの距離は地球から156万キロで、月と地球の距離(38万キロ)の約4倍もあるそうですから、地球に衝突する可能性はまずないようです。

トータティス・NASA
○地球から約400万kmの最接近の頃における
レーダー観測で得られた画像。4回の観測ご
とに向きが異なっている。
ただ、今から約6500万年ほど前には、トータティスより大きい同じような小惑星が地球に激突し、この衝突によって大量のチリが大気中に充満して気候に大異変が起き、このために恐竜が絶滅した、という有力な説があるように、地球はその長い歴史のなかに幾多の想像を絶するような出来事を刻んできているのです。
NASAとして知られるアメリカ航空宇宙局の発表によりますと、このような小惑星が私たちの生存中に地球に衝突する確率は1万分の1、といわれていますが、その場合は当然、地球文明は滅びることでしょう。
私はここで人類の破滅について書こうとしているのではありません。宇宙科学の発達により、今までの未知なる宇宙の実態が科学的に究明されていくにしたがい、宇宙の活動が地球、そして人類はじめ万物の生命と深いつながりをもつことが実証されていくことに、深い感動とともに人類としての使命感を覚えるものです。そこで、生命の連鎖と循環ということについて、日頃心にいだいていることを披瀝し、皆様と共に生命の尊さや神秘さについて考えたいのです。人間の生命を知ろうと思えばどうしても地球上だけに止まらず、生命の根源である宇宙を訪ね、宇宙の起源にまでさかのぼることになります。
