
- 2002 - 2月 -
☆日本の金星探査計画 「天文月報」2002年3月号より
2009年までに金星に探査機を送る計画が、日本の宇宙科学研究所で進められている。総重量650kgの探査機を、M-V(ミューファイブ)ロケットにより、周期30時間の金星周回逆行長円軌道に投入するという。打ち上げは2007年2-4月、または2008年2-4月のいずれかで、どちらも2009年9月に金星に到着する予定である。
探査機には赤外線や紫外線などで観測する5台のカメラが搭載される。この観測により、金星大気の循環機構などを解明するデータを収集する。
金星は地球のすぐ内側を回る惑星である。そのくわしい様子は、金星全体をおおう厚い硫酸の雲によりよくわからなかった。やがて米ソの探査機による観測から、金星の地表温度は約500度、90気圧の灼熱の世界であることがわかってきた。大気のほとんどは二酸化炭素で、このような環境がどのように作られたかが興味深い。
また1960年代半ばには、金星が243日の周期で逆行自転していることがわかった。これは大きな謎である。
金星の大気の上層部(高度70km)が、約4日で金星を一周していることが発見されたのは1950年代末のことである。これは毎秒100mの風速ということになる。 金星自体の赤道自転速度は毎秒1.8mなので、なんと雲層大気がその60倍の速さで同じ方向に運動している。これも大きな金星の謎である。地球には、ジェット気流と呼ばれる、毎秒100m級の強い風が中緯度を循環しているが、赤道自転速度毎秒500mより遅く、不思議なことはない。金星には何か特別なメカニズムが関係しているのかもしれない。
「なぜ水は地球に豊富にあり、金星には少ないのか。なぜ二酸化炭素は地球大気には少なく、金星には90気圧もあるのか?」という問題もある。これには一応つぎのように説明されている。
「地球は太陽からの距離が適当だったため、水が液体として存在でき、水に溶ける二酸化炭素は海に溶けて炭酸塩として海底に沈殿し大気中から除かれた。残った窒素に、植物が光合成で酸素を加えて現在の地球大気の組成になった。一方、金星では太陽放射束が地球の2倍もありH2O(水)が液体で存在できず、90気圧の二酸化炭素がそのまま残り、500度Cの温室になってしまった。」
また金星に水が少ないことについては次のようにも考えられています。「金星には磁場がなく、いわば太陽風が直接大気に吹き付ける。そのことが水(H2O)の消滅に関係してるかもしれない」。
こうしたさまざまな疑問をたしかめるため、金星大気の観測にむけて準備が進められている。
