「エレガントな宇宙」(草志社)は、超ひも理論の研究者であるアメリカのブライアン・グリーンの書いた科学啓蒙書です。アメリカではベストセラーになったそうです。
数式はほとんどなく、現在の自然科学が取り組んでいる最先端の問題へと、考え方をたどって読者を導きます。
実はまだ読了してないのですが、いくつかのきらめく表現を紹介してみます。
○静止した物体は「時間」の中を光速で進む
私たちの住む世界は「縦、横、高さ」の3次元に「時間」の次元を加えた「4次元宇宙」といわれます。
たとえば誰かに会う場合、「○○町5丁目、3番地のビルの9階」と連絡します。しかしこれだけでは会うことはできません。「いつ」という時間を指定してないからです。つまりこの世の出来事は、空間の情報3つと時間の情報1つによって示されます。
そしてこの「時間」の中での運動も、空間での運動と同等に捉えられるというのです。
もしまっ平らな平原で、X軸方向に、時速100kmの車が100km向こうのゴール目指して走ると1時間かかります。つぎにX軸と直角なY軸方向に、ゴールを100kmずらします。最初の出発点から同じく時速100kmの車が、このゴールに向かって進むと、間違いなくより多くの時間がかかります。一辺が100kmの正方形の対角線を行くのですから。つまり第2の次元に運動量を分散したために、第1の次元のX軸から見るとスピードは落ちてしまうのです。
特殊相対性理論では、「運動する物体は時間の進み方が遅くなる」といいます。これは何に対してでしょう。これは静止している観測者に対してです。
そこで静止している物体は、「時間」軸の中を光速で進んでいると考えます。何らかの力を加えて、「空間」への運動を起こすと、それだけ時間軸の運動は分散されて小さくなります。これこそが特殊相対性理論が指摘していること、「運動する物体は時間の進み方が遅くなる」です。つまり、物体が空間の中を進む速さは、時間にそった運動がどれだけ他に振り分けられるかということの反映に過ぎない。
これによって、物体の空間的速度に限界があるという事実が、説明されます。時間軸にそった物体の運動がすべて使い果たされた時、この速さが空間の中を動く速さの限界となります。どんな物体もこの速さ(=光速)より以上では動けないのです。
かくして光の速さで空間を進むものには、時間にそって動くための速さが残らない!したがって
光は年をとらない。
ビッグバンで生じた光子は、今日でも当時と同じ年齢なのだ。光の速さでは時間は経過しないのである。
面白いですね、アインシュタインの相対性理論からこんな結論が出るなんて。
落語か何かで「寝ている人」を「枕をかついで横に立ってる」と表現してたのを思い出してしまいます。「静止している物体は、時間の中を光速で進んでいる」というのですから。驚きました。
量子力学ではもっと不思議な事が起きているようです。