ミニミニ解説

  太陽系と惑星

             −  天王星の発見以降 −                            2006年9月作成 
                                                              月光天文台
太陽系と惑星

○天王星の発見以降

 天王星(ウラノス)は1781年、イギリスの天文学者W.ハーシェルによって偶然発見されました。6等星です。天王星の軌道半径は土星の2倍ほどもあり、太陽系は一挙に倍の大きさに広がったのです。

 天王星の運動を観測してみると、ニュートンの力学から少しずれていることがわかりました。これはおそらくいまだ発見されていない惑星の影響だろうと考えられ、世界中で惑星探しがはじまりました。

 およそ20年後、1801年の1月1日、イタリアのピアジによって、新惑星ケレス(8等級)が発見されました。
この新惑星の軌道は火星と木星の軌道の間にあり、惑星の配置をうまく表した「チチウス・ボーデの法則」に当てはまる場所にありました。しかしこの惑星は直径900kmほどの小さい天体であることがわかりました。このような小さい惑星はその後次々と発見され、通常の惑星ではなく小惑星(マイナープラネット)と呼ばれました。ケレスは最初に発見された小惑星だったのです。現在小惑星の数は、10万を越えています。

 ついに1846年、フランスのルベリエの計算により、ベルリン天文台のガレによって8等星の新惑星が発見されました。このときイギリスのアダムスも計算を行いましたが、発見には至らなかったとされます。力学的計算により新惑星がみつけられたため「ニュートン力学の勝利」ともいわれました。
 この新惑星は海王星(ネプチューン)と名づけられました。
 海王星の発見により、太陽系は土星の軌道の3倍に広がりました。海王星の発見より、今年は160年になります。

 この海王星の運動も理論の予想と少し違っていました。天文学者達はさらに新惑星の発見に取り組みました。
 
 新惑星の発見に情熱を燃やしたのがアメリカのローエルで、その意を受けてトンボーが観測をつづけました。その熱意が報われたのは、海王星の発見から84年もたった1930年のことです。明るさは14等級と予想よりはるかに暗い天体でした。これが冥王星(プルトー)です。

 冥王星の軌道の平均距離は、太陽と土星との距離の4倍ほどです。太陽系は150年ほどの間に直径で4倍の大きさに拡大したのです。
 この発見はトンボーが、ほとんど黄道帯の全周をくまなく探し回った結果ともいわれます。

 この第9番目の惑星が、発見の76年後に惑星でなくなるとは誰が予想したでしょう。

 観測技術が進むにつれ冥王星の大きさは、(地球くらいという)当初の推定よりどんどん小さくなってしまいました。現在では地球の4分の1の月よりさらに小さいことがわかっています(直径2300km:地球の約5分の1)。またおもな成分も氷や岩石であろうと考えられています。

 1900年代の末ころになると観測技術は飛躍的に進歩し、太陽からはるか遠方の暗い天体を捉えられるようになってきました。そして海王星の外をめぐるいくつもの新しい天体が発見されたのです。こうした天体は、エッジワースとカイパーが予言した太陽系外縁のベルト状領域をめぐる天体としてエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)とも呼ばれました。しかし2005年になって、冥王星よりも大きいとみなされる天体2003UB313が発表されるに及んで、これを第10惑星とするのか?さらに何を惑星と呼ぶか?といった議論が持ち上がってきました。

 国際天文学連合(IAU)のこの問題を扱う委員会は、ひとつの基本案をもって2006年のプラハにおける国際天文学連合総会に望みました(この総会は世界各地で3年に一度開催されます)。基本案は小惑星ケレス、冥王星と連星をなすカロン、そして2003UB313を惑星に昇格させ12惑星にするというものでした。

 しかし、そうすると今後発見される天体が、次々と惑星となる可能性があります。いろいろな意見が出て会議は紛糾しました。結局惑星の定義を次のように決め、冥王星を惑星のグループからはずして8つの惑星とすることが決議されました。2006年8月24日のことでした。

太陽系の惑星の定義
(1)太陽の周りを回る(公転する)
(2)十分な重さを持ち、球形である
(3)自分の軌道の周囲から、ほかの天体を(合体や重力散乱で)なくしてしまったもの

冥王星の軌道付近(海王星軌道の外側の領域)には、すでに1000余りの天体が発見されていて(3)の定義を満たさないため、冥王星は惑星ではなくなりました。これから発見されると予想される天体も、同じ理由で惑星になることは難しいでしょう。一方で冥王星を代表格とする新しい矮惑星達の姿が、一層明らかになっていくことでしょう。

 天文学者の一人はこういいます。「今回の騒動により、私達はより新しい、より正しい太陽系の姿の認識に近づいたのです。太陽系の外縁は、新しい天体が発見されるなど日々広がっています。観測の進歩によって太陽系への認識が変わっていく過程を、いま私達は経験しているのです」。

   国際天文学連合(IAU)での議決のようす プラハ・2006.8.24

 


   *用語解説
     AU: 天文単位(= 地球と太陽の平均距離) 約1億5000万km
 
    ○参考
     地球の公転半径:   1.00AU
     火星の公転半径:   1.52AU
     木星の公転半径:   5.20AU
     土星の公転半径:   9.55AU
     天王星の公転半径: 19.2AU
     海王星の公転半径: 30.1AU
     冥王星の公転半径: 39.5AU
     

 

   

    TOP BACK