2001年版「太陽・月・星のこよみ」の写真の解説追加

 

監修:日本暦学会会長 古川騏一郎・理学博士       down
企画・編集・発行:財団法人 国際文化交友会
規格:14枚カラー両面資料 59.4cm×42.0cm

 ※このページは、2001年版「太陽・月・星のこよみ」の利用者の方々に、掲載写真の追加解説を提供するものです。写真のデータ等は「こよみ」に記されているため、ここでは省略させていただきます。

〔表紙〕衛星から見た日本とアジア大陸
 地球をまわる観測衛星が撮影した東アジアの画像です。太平洋に浮かぶ島である日本、台湾、フィリピン北部のルソン島、カラフト南部等が見えています。大陸では中国、ロシア、韓国、北朝鮮などが見えます。
 白い雲が海洋や大陸の一部を隠しています。地球の地平線を見ると、地球を包む大気の厚みがごく薄いことがわかります。
             
             表紙アップ

〔ポスター〕冬の天の川
 冬の天の川は、私たちの銀河系の外の方向を見ているため、夏の天の川ほど濃くありません。冬の天の川はぎょしゃ座からふたご座の足元、冬の大三角形の中、おおいぬ座の背中の上あたりを流れてとも座へといたります。

 ポスターには、冬の大三角形を中心とした領域が写っています。中央の右手にオリオン座が見えます。オリオンの三ツ星とオリオンの剣とよばれる小三ツ星を見つけましょう。
 小三ツ星の真中が有名な「オリオン大星雲(M31)」です。三ツ星の左(東)端のζ星の周囲には赤い星雲があります。ζ星の南は、有名な暗黒星雲「馬頭星雲」があるところです。
 三ツ星を囲む四角形を形作る星のうち、左上はオレンジ色のベテルギウス、右下は白いリゲルで色の違いがよくわかります。

 オリオンの三ツ星、小三ツ星の東に半円形をつくるのが「バーナードループ」です。これは高温の水素で、かつての超新星爆発の名残と考えられています。またオリオンの頭の付近にも淡い赤い光がかかっています。こちらはその形から「エンゼルフィッシュ」と呼ばれています。

 ベテルギウス、シリウス、プロキオンの作る冬の三角形の中、上の方にバラ星雲(NGC2237-9)が見えます。図鑑などでその鮮やかな姿を目にした人も多いことでしょう。いっかくじゅう座にある3600光年かなたの赤いバラ(散光星雲)です。冬の三角形の左下には、やはり赤い散光星雲であるわし星雲(IC2177)が見えています。

 シリウスの南には散開星団M41が、上方のふたご座の足元にはM35が見えています。M35の南の赤い星雲はモンキー星雲(NGC2174-5)です。
 投稿天体写真の対象となるユニークな天体が、ざくざく埋まっている冬の天の川です。

            ポスター

〔1月〕カリフォルニア星雲(NGC1499)
 ペルセウス座にある約2000光年かなたの散光星雲です。東西に約2゚、南北に1゚の広がりを持っています。赤い光は高温の水素ガスが放つといわれます。カリフォルニア星雲は約1゚南のペルセウス座ξ星(右下の青白い星)によって励起され光っているとのことです。
 淡いため肉眼で見るのはむつかしいでしょう。また印刷で表現するのもなかなかむつかしい対象です。
               1月わし星雲

〔2月〕昇る北斗七星と沈むカシオペア座
 北天の日周運動です。ガイド20分、固定30分で星が点状と円周状に写されています。
 ほぼ中央に2等星の北極星、左手にカシオペア座、右手に北斗七星が見えます。
 上のほうの明るいクリーム色の星は、ぎょしゃ座の1等星カペラです。星図をたよりにおおぐま座やこぐま座も探してみましょう。
               
            北斗

〔3月〕甲斐駒に沈む冬の星々
 山梨県の秀峰、甲斐駒ヶ岳(2966m)に沈む冬のオリオン座です。
 右のほうのオレンジ色の線が、オリオン座のα星ベテルギウスの軌跡です。その下の白い線がオリオンの向かって右肩のγ星です。その南で明るく、途中で途切れているのがこいぬ座の1等星プロキオン。中央付近にオリオンの三ツ星、そして小三ツ星の軌跡が見えます。

 小三ツ星の真ん中のオリオン大星雲の色が地上に近づくにつれ、街明りのせいでしょうか緑がかってきます。その南(左)はオリオンのβ星リゲルとκ星の光跡です。さらに南には全天一の輝星シリウスが描くくっきりした白線が見えます。

            甲斐駒ヶ岳

〔4月〕湿りの海付近
 満月近くになってようやく太陽の光が射してくる「湿りの海」ですが、この写真はその湿りの海での夕暮れころの写真です。そのころの月は、地球から見ると夜明け前の空低く昇っていて、大気の減光により赤みが強くなっています。およそ右が北になります。

 暗く平らな湿りの海の右(北)に、中央に峰のあるガッセンディ・クレーターが印象的です。そのガッセンディの縁の上に、別のより小さいクレーターがのっています。この重なり方で、より小さいクレーターが後からできたことがわかります。

 一般にクレーターの多いほど古い表面、逆に海のようにクレーターの少ない平らな表面ほど、新しくできた表面といわれます。この写真からは、ガッセンディが湿りの海より後に形成されたことがうかがえます。

         月面

〔5月〕回転花火銀河・M101
 メシエカタログ101番目の天体です。おおぐま座の尾のほうに見られる8.2等級の明るさの渦巻き銀河です。距離約2250万光年。M101はM51など十数個の銀河と共に銀河群をつくっています。

 渦巻き銀河の周辺部には星間物質(とくに重い元素)が多く、そのような物質を取り込んだ「銀河の腕」の部分で作られる恒星は、大きく高温の青白い星がおもになります。それにたいして渦巻き銀河の中心部では重い元素が少なく、したがって高温の巨星ができず、オレンジ色になるといわれます。この写真でもそれが確認できます。
 このような遠い天体の姿が、プロの天文家でなくても撮像できるという、撮影機器の進歩には驚かされます。

           M101
                                     down
〔6月〕20世紀最後の日食
 1999年8月11日、ヨーロッパから西アジアにかけて起きた皆既日食です。
 皆既日食が見られるのは、月の本影が地表に落ちたところだけです。皆既中は金星などの明るい天体が見えます。また皆既食帯の中に入らない、遠くの地平線などには太陽の光が届くため明るくなります。
 この日食の6日後、トルコ中部を大地震が襲いました。

          日食

〔7月〕明けの明星
 夜明け前の金星の姿です。金星は空で太陽・月についで明るい天体です。地球の軌道の内側をめぐるため、太陽から48゚以上離れることはありません。

 金星が太陽をまわる公転周期は約225日、内合から内合までのように、地球との位置関係が繰り返す会合周期が約584日です。会合周期を5倍した2920日はおよそまる8年になり、またそれは金星の公転周期の13倍と2日ほどしか違いません。つまり8年すると、金星は同じ季節にほぼ同じような見え方をすることになります。
 この写真の金星の下、木のすぐ上の明るい白い星は、おとめ座のスピカです。

           よいの金星

〔8月〕さそり座と夏の銀河
 南半球ニュージーランドで撮影したさそり座付近の天の川です。40分の露出で、天の川とそれに重なる暗黒星雲などが浮かび上がりました。星雲や星団の宝庫です。

 中央右よりのアンタレスとその右隣のρ星の中間下には、球状星団M4があります。アンタレス付近の星雲や、その上に細長く伸びる暗黒星雲もあまり目にしたことがない新鮮な映像です。

 画面の左は天の川が暗黒帯によって二分されています。暗黒帯の左上にはかすかに青みを感じさせる三裂星雲M20とその左下に赤く広がった干潟星雲M8が目に止まります。
 さそりの尾の先の明るい散開星団M7は、中央左の天の川に埋もれ、色も白くとびそうになっています。M7とM8の中間付近も、天の川の中でもきわめて明るい領域です。

 一方M7の右上の小ぶりの散開星団M6は、ちょうど暗黒帯の上に位置し、その存在をアピールしています。またさそりの尾の二つ星λ、υ星の右上に、赤い散光星雲NGC6357(上)とNGC6334(下)があり、やはり暗黒帯にあるおかげで目立っています。
 無数の星とそこにただよう暗黒星雲がおりなす明暗の模様が、迫力を感じさせます。

            南天のの銀河

〔9月〕いて座の干潟星雲・M8
 先月の写真にもあった干潟星雲・M8のクローズアップです。
 干潟星雲は南斗六星のひしゃくの柄を、途中で曲げずに直線状に伸ばすとすぐ見つかります。星雲自体の明るさは6等級ですが、NGC6530という明るくまばらな散開星団と重なってひときわ華やかになっています。カラー写真では赤い干潟星雲と星団の違いが確認できます。

 干潟=ラグーンという名前は、写真で見ると暗黒星雲の上に浮かぶ南海の孤島のように見えるため、といわれますが、あなたの目にはどう写るでしょうか。真っ赤な星雲の中にも暗黒物質が浮かんでいて、これがときに海に沈む干潟ととらえられたのかもしれません。
 左下の小さな星の群れはNGC6544です。

          干潟星雲

〔10月〕北天の星々
 2月に掲載された写真に続いて撮影されたものと思われる、北天の星野です。
 40分のガイド撮影で、星空と共にカメラが動いたので、地上の灯火が回転しています。星が点像に移り、星図との対象が容易でしょう。北斗七星のニ重星ミザール、ペルセウス座のh-χ二重星団などが見られます。中央の北極星は2等星で、約400光年かなたに光っています。
 カシオペア座の付近を、冬の天の川が淡く流れています。全体になんともいえない静けさをただよわせる光景です。

          北天星野

〔11月〕Leonid 1999
 1999年のしし座流星群の記録です。
 (1)は月光天文台の上空をかすめるしし座群流星(Leonid)です。
 この流星はどちらへ流れたのでしょう?画面左の北極星と、画面右の少し回転した北斗七星が見つかるでしょうか。北斗七星から北極星をみつけるコップの端の2星を反対の方向に伸ばすと、およそしし座の1等星レグルスにいたります(画面の外ですが)。その近くの輻射点から飛び出した流星が、ドーム上空で輝きました。この流星は右上から左下に流れたことがわかります。

 (2)はしし座全体が写っています。裏返しになった?マークのししの頭と、後ろ足と尾を表わす左側の三角形がしし座の骨格を作ります。ししの頭のγ星付近に、しし座流星群が飛び出す中心となる輻射点があります。

            leonid

〔12月〕山小屋の夜
 3月の写真と比べると星の光跡の正体を特定できます。
 まず中央のほぼ等間隔の青白い軌跡がオリオンの三ツ星とおもわれます。その南には小三ツ星、白い1等星リゲル、2等星κと続きます。
 三ツ星の北に目をやると、黄色い光跡が煙突の上の樹木を横切っています。光跡の位置が、オリオンの腰のベルトと肩の星の中間くらいにあるとみて星図と比べると、くじら座のα星、2.5等のメンカルのようです。色を表わすスペクトル型を見るとベテルギウスと同じM型です。よって上(北)の途切れている明るい黄色い線がベテルギウス、その間の青白い線はオリオンの肩のγ星でしょう。

 さてその北にひときわ明るい光跡があります。これは2000年1月当時うお座にあった木星のようです。その上はおひつじ座の土星、そして右上角をちょっとかすめているのがアルデバランです。
 5時間近い長時間の露出で、山小屋の明りがあふれるようです。

           山小屋


  M:18世紀のフランスの天文学者メシエが、彗星と紛らわしい天体    
    110個ほどをまとめたメシエ・カタログを示す記号。続く数字は 
    カタログでの掲載の順序。星雲、星団、銀河などが含まれる。
NGC :ニュー・ジェネラル・カタログ(新一般星雲星団目録)の略号。1888
    年にドライヤーが作った7840個の星雲星団のカタログ。星雲の中
    には銀河が含まれている。
 IC :インデックス・カタログ(指示カタログ)。NGCの補遺カタログと
     して1895年・1908年に発表された。

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