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公益財団法人 国際文化交友会 月光天文台

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光の不思議!-案内




★光のスペクトルを見る装置模型
 hikari-1
 ・左の光源をスリットで絞り、プリズムで分光し、デジタルビデオカメラで撮影している

企画展「光の不思議!」の主な内容
  ★国際光年
  ★光の明るさ  
  ★光の反射・屈折・回折
  ★光のスペクトル
  ★赤外線と紫外線
  ★光のスピード
  ★光は波か粒子か?
  ★発光と吸収のメカニズム/量子論
  ★光とブラックホール
  ★光のどこが不思議なのか?



 ★国際光年
   2015年は、国連の定めた「国際光年」、また「国際土壌年」となっています。この企画展は、国際光年をヒントに企画されました。
 光の理解に関して、歴史的に節目となる年とされます。
 その1:イブン・ハイサムが「光学の書」を出した(1015年・ちょうど1000年前です)。
     イブン・アル・ハイサムは、日本ではあまり知られていませんが、欧米では歴史上もっとも偉大な科学者の一人とされているそうです。
     イスラム圏の科学者で、西洋ではアルハゼンと呼ばれ、月のクレーターにもその名が残されています。
 その2:フランスのフレネルが、光の波動説を提唱した(1815年・200年前)
       ちなみにニュートンは、白色光を分光し虹色を作りだしました(1666)。ニュートンは、光を粒子と考えたようです。
       イギリスのヤングが、光の干渉実験を行った(1801)ときは、それが波動説を支持するというので、イギリスの皆からたたかれたとか。
 その3:イギリスのマクスウェルの電磁波理論(1865年・150年前)
      マクスウェルは、電磁波の理論ををつくり、」その速度を計算してみた。それは光のスピードだった。
      つまり光は電磁波に一種ということになる。1888年、電磁波はヘルツによって確認された。
 その4:ドイツのアインシュタイン、光電効果を光量子仮説で説明(1905年・110年前)
      光は色(波長)によって、基本的なエネルギーがことなり、そのことが光電効果のいろいろな現象を起こしている。
      光は粒子としての一面を持っていたことになる。この年、特殊相対性理論も発表。
 その5:アインシュタインの一般相対性性理論(1916)
 その6:レーザーの発明(1960年)
      アメリカのタウンズ等
 その7:宇宙背景放射の発見(1965年・50年前)
     アメリカのベル電話会社のペンジャスとウィルソンは、あらゆる方向からやってくるかすかな電波を発見。
      
    おもにこんなものです。
    また昨2014年、3人の日本人(赤崎勇、天野浩、中村修二の各氏)がノーベル物理学賞を受賞しました。
    これは青色発光ダイオード(LED)の、開発から実用化までを実現した功績によるものです。
    すごいですね。
    世界中の照明が消費電力の少ない、長寿命のLEDに置き換えられています。

 ★光の明るさ
  古代から人間は夜の闇を照らすため、ろうそくなどの灯かりを用いてきました。
  人間の使う光はおもに照明装置として使われています。今では電球、蛍光灯、LEDなど様々な光が夜の闇から、人間を解放してくれています。
  同じ光(光源)でも近いと明るく見え、遠くなると暗くなります。

 ◆星の等級
  星の光にもそれぞれの明るさがあります。古代の天文観測者(ヒッパルコス)は、一番明るい星と暗い星の明るさを6段階に分け、明るい星の
グループを1等星、次に明るい星のグループを2等星、というふうに分類し、目でようやく見える星のグループを6等星としました。これが星の等級
の始まりで、暗い星になるほど、その数が増えてゆきます。

  ※現在の定義は5等級の違いは、100倍の明るさ。つまり6等星が100個分集まれば等星の明るさになります。
    では1等星が100個集まった時の明るさは?          〔答え:マイナス4等星〕

  では距離によって、光の明るさはどのように変わるのでしょう?すでに答えは出ています。
  光の明るさは、その距離の2乗に反比例します!
  たとえば光源までの距離が2倍になると明るさは4分の1になり、距離が3倍になると9分の1の明るさになります。

   「距離の2乗に反比例」するのは光の明るさですが、「距離の2乗に比例」する例を見てみましょう。
   球の半径(r)と表面積(S)の関係です。
   球の表面積は、半径の2乗に円周率(π・パイ)と定数(4)をかけたものです。
   公式では次の通り。
             S=4πr^2
   
   球の表面積は半径の2乗に比例して大きくなりますが、光の明るさは距離の2乗に反比例して暗くなります。
   球の中心に光源を置いてみるとわかりやすいかもしれません。照らす範囲が広がるほど、同じ割合で明るさは弱くなるのです。
   よくできています。
   これは「万有引力」や「電磁気力(クーロン力)」も同じ割合で変化します。

   「暗い星ほど数が多い」
   これは「明るい星ほど私たちの地球に近い」ということのようです(もちろん例外もあります)。
   遠くを見るほど見える範囲(空間)が広がり、そこに含まれる星の数も増えるからです。
 
  ★光の反射・屈折・回折
   反射
   鏡を見ると自分の姿が写って見えます。これは鏡に夜手光が反射居ているからです。光は直進し、反射する性質を持っています。
ボールが壁に反射するのと同じです。いわば「粒子説」の現象です。
   通し尿の光ケーブルは、光の全反射の性質を利用しています。

   屈折
   水の入ったコップにストローを入れると、折れ曲がって見えます。これは光が空気、水、ガラスなど伝える物質(媒質・ばいしつ)
を通過するとき、その境目で折れ曲がる(屈折)ためです。この性質を利用したものがメガネ、望遠鏡、顕微鏡などです。
   光の屈折は、波のような現象です。

   回折・干渉
   太陽の光で影を作ってみると、影の縁が少しぼやけています。これは光が回り込むためで回折(かいせつ)といいます。
   水の表面をたたいて波を作るとその波は同心円を描いて広がります。この波をすき間の空いた板でさえぎると、すき間を通った波は、
またそこから円を描いて広がります。さらに回折した光が、お互いに干渉(かんしょう)することがヤングの実験で示されました(1801)。
光の干渉とは光の強弱が重なって、明暗の縞模様ができる現象です。


  ★光のスペクトル
   太陽の光をガラスの三角プリズムに通すと、虹の色が現れます。
   これは太陽光が分光されてできるもので、連続スペクトルといいます。太陽光がガラスで屈折するとき、波長によって屈折の度合いが
ちがい、波長の短い光ほど大きく曲がります。波長の長い光は赤く見え、短い光は青く(紫)見えます。

   ガラスのプリズムと同じような役割を、空の水滴が行ったものが空にかかる七色の虹です。また高い空の巻層雲に含まれる氷の粒が、
屈折によって光を分光すると「日暈(ひがさ)」や「月暈(つきがさ)」などが見られます。

   ◆太陽の光をスペクトルに分けて研究したのは、かのニュートンが始めといわれます(1666)。プリズムで分けた七色の光を、別の
プリズムで一つにまとめると、再びもとの白色光に帰ることも確かめたそうです。
    ニュートンは1704年、「光学」と題する本でその研究を発表し、「光は粒子である」との見方をしめしました。


   ◆フラウンホーファー線
    1802年、イギリスのウイリアム・ウォラストンは、太陽の連続スペクトルの中にたくさんの暗線があることを、王立協会に報告し
ました。
    ドイツのフラウンホーファーは1814年、独立にこの暗線を発見し、翌年にわたってこれを詳しく調べ、570を超える暗線の波長を
計測しました。そして主要な線にAからKまでの記号を、弱い線にはまた別の記号を付けました。そのためこの暗線はフラウンホーファー線
とも呼ばれます。
    やがて1860年、キルヒホッフとブンゼンによって、それぞれの暗線が、太陽の上層大気、および地球の大気に含まれる元素による
「吸収線」であることが判明しました。(AとBは酸素、Cは水素、Dはナトリウムなど)
    光源に含まれる元素は特定の波長の光(輝線)を出すこと、光が通る途中に比較的低温の気体状の元素があると、同じ波長の元素を
吸収して暗線になることなどがわかったのです。

    こうして光のスペクトルを調べることによって、はるか遠い星の表面温度や構成元素、通過する大気の物理状態を知る道が開かれた
のでした。
    星のスペクトルを調べることは、星の物理を知る第一歩となっています。

   ★赤外線と紫外線
    1800年ころ、天王星を発見したウィリアム・ハーシェルによって赤外線が発見されました。
    波長ごとに温度計を置いて調べてみると、意外にも赤よりも外側のところで温度が一番上がったのでした。こうして太陽からは目に
見える光〔可視光線〕意外にも、目には見えない何かが来ていることがわかりました。

    1801年、リッターは、塩化銀を塗った紙を作って太陽の連続スペクトルの各部の違いを調べました。そして紫色の外側にも何かが
来ていることをつきとめました。
    これらは目に感じる七色の可視光線の外側に位置するので、それぞれ赤外線(Infrared Rays)、紫外線(Ultraviolet Rays)
と呼ばれます。
    太陽の光にあたると暑い(暖かい)感じを受けますが、熱はおもに赤外線の形でやってきます。赤外線は人間には見えませんが、
蛇などは真っ暗闇でも、赤外線を出しているネズミなどが近づくとわかるそうです。
    一方、紫外線は日焼けを起こします。化粧品などにUVカットなどと書いてあるのは、紫外線を防ぐ効果があるという意味です。
    鳥類はこの紫外線を見ることができるそうです。


   ★光の三原色 
   青い光、赤い光、緑の光を混合すると、色は消えて白い光になってしまいます。この3つを「光の3原色」といいます。カラーテ
レビの発光は、基本的にこの3色で構成されています。
   ちなみに反射光(絵の具、印刷物など)では、赤(マゼンタ)・青(シアン)・黄色(イエロー)が3原色となり、混ぜるたびに
明るさが落ち、3つ混ぜると黒くなってしまいます。

   ★光は電磁波
   イギリスのジェームズ・C・マクスウェルは、光が電磁波の一種であることを、理論的に導きました。電磁波とは、電気の波と磁
気の波が直角方向に振動し、交互に発生(誘発)して、どこまでも伝わっていくものです。
   マクスウェルは、電磁波が光の速さ(光速)で真空中を伝わることを示しました。
   なにもない真空をどうやって伝わるのか、はエーテルという仮想の物質(媒質)が想定されました。(現代では、エーテルの存在
は否定されています。)
   波の速さは、次の公式で表されます・

   波の速さ = 波長 × 振動数

  電磁波のスピードは、波長に関係なく皆同じということです。それは波長が短いほど多く振動していることを意味します。短い波長
の電磁波は、多く振動し、それだけ高いエネルギーを持っていることになります。波長の短いX線やガンマ線は高いエネルギーを持ち、
物質の中を透過してしまいます。

   現在、電磁波はその波長や用途によっておもに以下のような名前が付けられています。
   波長の短い方から並べると次の順。

    ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、ミリ波、短波、中波、長波

   このうちマイクロはより波長の長い方は、電波(Radio Wave)とも総称されます。
   私たちが身に感じている「光」は、たくさんある電磁波のごく一部にすぎないのです。

   ★光のスピード
   光(電磁波)は「宇宙でもっともはやい」といわれます。そのスピードはどのくらいでしょう?
   それは、1秒間に約30万kmです。
  
   この距離、実感できますか。地球の赤道の円周が約4万kmなので。光は1秒間に地球を7回と半分回ります。
   地球と月の距離は平均38万kmなので、月へ向かって放った光は約1.3秒後に月に届きます。逆もまた同じで、月を見たとすると、
その姿はおよそ1秒前の月ということになります。
   地球から太陽までの距離は約1億5000万km(=1天文単位)。これを光が1秒に進む距離で割ると500、すなわち500秒となりま
す。より正確には約8分19秒で、地上で太陽を観測しているその姿は、8分以上前の太陽ということになります。


  ★光のスピードの測定
   光のスピードを測って1676年、初めて意味のある結果を出したのはデンマークのレーマーです。予報されている木星の衛星の食の
時間が、予報と少しずつ違ってくることに気が付きました。
   これは光が地球に届くまでの距離が違っているため、と考えました。木星は地球の軌道半径の約5倍の軌道を回っています。木星が
太陽の反対方向になる衝の前にはちきゅは少しずつ木星に近づき、衝の後には少しずつ遠ざかります。そのため予報の時刻が実際とずれる
のです。この現象を調べて、レーマーは光の速度を毎秒約21万kmと算定しました。
   1600年代の段階で、光のスピードが有限であること、現代の値と同じオーダー(桁数)で算出したことは驚きべことです。


  ★光は波か粒子か?
   光は粒子のように反射し、波のように回折・干渉します。波動説は、光が電磁波の一種であることもわかり長く支持されてきました。
しかし粒子と考えなければ説明できない現象があります。それが光電効果です。

  ◆光電効果
   光を金属の表面に当てると電子が跳びだす現象。赤い光をいくら強く当てても電子は跳びださない。しかし波長の短い青い光を当てる
と、弱い光でも電子が跳びだしてくる。これは誰も説明できなかった。

   アインシュタインは1905年、光電効果を説明するのに、光はそれぞれの波長に応じた円るぎーを持った粒子の集まりと考えました。エ
ネルギーに基本的な最小単位があると、最初に提言したのは、ドイツのマックス・プランクでした(1900)。
   アインシュタインは赤い光の基本エネルギーは小さく、金属の表面から電子を跳びださせることはできない。しかし、青い光はより高い
エネルギーを持つため、それを照射すると弱い光でも電子が跳びだすと見抜いたのです〔光量子仮説〕。光は粒子としての性質をしっかり持っ
ていたのです。

   光電効果、光の作用を電気の作用に変換するもので、光センサ、光電子倍増管、デジタルカメラの撮像像素子(CCD)などはこれを応
用したものです。
 
   1905年はアインシュタインが3つの画期的論文「特種相対性理路」、「光量子仮説」、「ブラウン運動理論」を発表した年で、物理学
の世界では「奇跡の年」といわれます。アインシュタインへのノーベル物理学賞は、1921年、光量子仮説に対して贈られました。


  ★発光と吸収のメカニズム/量子論
   20世紀、プランクに始まって飛躍的進展を見せた量子論(量子力学)によると「光は波でもあり、粒子でもある」といいます。
   1913年、量子力学の立役者ニールス・ボーアは、なぜ決まった原子から決まった波長の光(スペクトル)が出るのかを、直感的に次の
ように説明しました。

   電子は中心の原子核の周りをいくつかの軌道を持って回っている。低い軌道の電子が光のエネルギーを受け取ると、より高い軌道へ移り、
逆にエネルギーを得て高い軌道に移った電子は、ある決まった波長の光を放出してより低い軌道へ移行する。

   これを一番簡単な水素原子について表した図がよく見られます。実際の原子は平面でもないし、それほど単純な軌道でもありません。し
かしこの見方によって、長い間謎とされてきた光の発光と吸収(スペクトルの暗線)について、一応の理解が得られたのです。

  ★光とブラックホール
   光には、いわゆる重さ(質量)はありません。アインシュタインの一般相対性理論(1915)によると、「重力は空間の曲がり方」だと
されます。地球が太陽の周りを回り続けるのは、太陽の引力によって周りの空間が曲がっているためと説明されます。
   また地上の物体が地球の引力を振り切って宇宙へ飛び出すには、いわゆる脱出速度が必要です。重い星ほど、必要とされるスピード(脱
出速度)はおおきくなります。もし小さな領域に膨大な質量が詰め込まれると、周りの空間は極端に曲がってしまうと考えられます。その結果、
宇宙で最も早い光のスピードでさえも脱出速度に届かないことになります。重さのない光が、重力で捉えられるわけではありませんが、光でさ
えも脱出できない閉じた空間ができて染むのです。これをブラックホールと呼んでいます。
   
  
 ★光のどこが不思議なのか?
  光は波のようにも粒子のようにも振る舞います。
  「波だと思われていた光が粒子のように振る舞うのであれば、粒子だと思われている電子も波の性質を持っているのでは」と提唱(1924)
したのは、フランスのド・ブロイでした。
  確かに電子は波の性質を持っていたのです。これを物質波といいます。電子は波のように原子核を回ります(電子雲)が、ひと回りするの
にその波長の整数倍の軌道しか存在できないのです。
  こうしてボーアが直感的に示した原子の構造モデルは、理論的な裏付けを与えられたのでした。ミクロの世界では、光であれ電子であれ、
波と粒子の両方の振る舞いができるのです。

  今日では電子を一つずつ発射できる装置があります。これを用い、2つのスリットのある板を隔てて向こうの壁に当てる実験が行われま
した。壁に当たった電子は蛍光物質によって1点が光ります。しばらく電子を(1個ずつ)発射していると、なんと干渉縞が現れるのです。
  この実験の意味は、「一つの電子が波となって2つのスリットを同時に通過し、干渉し、1点に届いて収束している」ということです!
  これってやっぱり不思議としか言いようがありません。

                                             〔以  上〕




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・太陽のスペクトル

 ◎太陽の光、星からの光。宇宙には様々な光が満ちています。
  光は波?光は粒子?
  光の性質の不思議を紹介します。

タイトル:企画展「光の不思議!」 
会  場:月光天文台
期  間:7月18日(土)~10月25日(日) 
      ▲休館:木曜  ・期間約1ケ月延長
時  間:9:00~17:00
主  催:月光天文台
お問合せ:月光天文台 Tel.055-979-1428


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