○地震への対応、それぞれの文化が現れるでしょう。とにかく現在、地震の予知、どのようになっているのでしょう?
地震の予知の可能性
おもに週刊文春 2012年1月26日号より
(一部敬称を略させていただきました)
予想一覧
No.
研究者(肩書き)
研究分野
次の地震の可能性
時期・確率・備考
1
遠田晋次(京大防災研准教授)
地震地質学・内陸活断層地震
首都直下(最大でM7.5)
いつ起きてもおかしくない
2
濱嶌良吉(元前橋工科大教授)
地震予知・地殻変動解析
首都直下(M7.2〜7.5)
今年中の可能性も
3
木村政昭(琉球大名誉教授)
地震予知・海洋地質学
三陸沖(M8.0)
2015年±3年
4
宇田進一(国際地震予知研究会理事長)
地震雲による地震予知
日本海溝の外側(M9.0〜9.2)
1年以内にも
5
斉藤好晴(環境防災研究会代表)
地震雲による地震予知
三陸沖、愛知県沖〜種子島海域(最大M7〜8)
1週間以内(1月15日発表)
6
茂木透(北大理学研究院教授)
電磁気学的地下構造研究
根室沖(M8〜9)
いつ起きてもおかしくない
7
神沼克伊(総合研究大学院大学名誉教授)
個体地球物理学
千島列島沖〜三陸沖、静岡西部沖〜日向灘、南西諸島海溝沿い(M9)
時期は特定できない
◆2011年9.30 政府の地震調査委員会は、3.11「東北地方太平洋沖地震」により、「日本列島の5断層について、地震発生確率が高くなっている」との判断を示す
◆2012年1.11 地震調査委員会が、東海地震の30年以内の発生確率を1ポイント上げ、88%に修正。
○石辺岳男(東大地震研究所特任教授)
立川断層帯 M7.4(30年以内の確率 0.5〜2%)
糸魚川−静岡構造線 M8(同 14%)
(牛伏寺断層を含む)
南関東 M7(同 70%)
茨城県南西部 M7(同 90%超)
東京湾北部〜銚子 M7(同 90%超)
●遠田晋次
3.11で銚子では40cm東へ動いた。数年間はM7.5クラスの直下型地震に注意が必要。
〔参考・理科年表等より〕
安政東海地震(1854) M8.4安政南海地震(1854) M8.4 安政東海地震の翌日(32時間後)
安政の江戸地震(1855) M7.2 安政東海地震の約1年後
関東大震災 (1923) M7.9
阪神淡路大震災(1995) M7.3
●濱嶌良吉
「3.11により、南から伊豆半島を押し上げるフィリピン海プレートの力を、関東地方がモロに受けるようになった。昨年(2011)6月の牛伏寺断層(長野県)周辺の地震は、フォッサマグナがその力で動き出した兆候。今年中に、東京でM7クラスの地震が起きてもおかしくない」
◆地震調査委員会
正断層地震(アウターライズ地震を含む)
30年以内にM8.2前後で起きる確率 4〜7%
※アウターライズ地震 日本海溝付近の震源域よりさらに沖合いのプレートで起きる
陸のゆれは小さいが、大きな津波を発生させる(例は以下の2つ)〔参考・理科年表等より〕
明治三陸地震(1896) M8.2昭和三陸地震(1933) M8.1 明治三陸地震の37年後
大船渡(岩手県)で海抜28メートルの大津波●木村政昭
大地震の予兆となる小さな地震の集まりを「地震の目」と呼ぶ。「三陸沖北部で地震の目が出ている。M8前後で2015年±3年の誤差で起きる可能性がある」
●宇田進一
NPO法人国際地震予知研究会のホームページで、地震雲による予報と過去ログを公開している。75%の確率で的中させてきたという。宇田氏によると、上空の「大気重力波」は、一般的には地形や気象状況によって起きる上下の波とされるが、地震前の地盤の変化を表しているという。この「大気重力波」の上には「さざなみ雲」と呼ぶ特徴的な形の雲が発生し、その雲を衛星写真で確認することによって、地震を予測する。
宇田氏は今年に入ってもいくつかの地震を予知している。氏が今もっとも警戒しているのが、東北から千葉沖の日本海溝の外側で発生するアウターライズ地震である。
「さざなみ雲の面積が全地球の6〜8割くらいの規模になっており、計算するとM9.2くらいになる。ただこれまで的中させてきたのはM7クラスまでで、不確定要素が多い」
●斉藤好晴
植物の電位を計測して、地震を予知する研究。
さざなみ雲の経験則では、さざなみ雲が発生して1週間以内には地震が発生している。1月15日に発表したひとつは、三陸沖M6級。もうひとつは愛知県沖から種子島の海域で最大M6。3.11の余震活動という。
○山岡耕春(名大地震火山研究センター長)「三陸沖から茨城沖にかけて、今後数年間はM7クラスの地震が年に1、2回は起きるでしょう」
●茂木透
電磁波による地殻活動の探査を専門とする。「北海道東部では太平洋プレートが沈み込んでいるが、一様ではない。根室沖には、大きな滑り遅れ領域が見つかっている。その広がりからM8〜9の地震もありえる、非常に警戒すべき状況」
○生田領野(静大理学部地球科学科助教)「GPSによると、根室沖では3.11前の東北沖よりも広範囲でプレートが引きずり込まれている。政府予測のM7.9よりも大きい地震となる可能性も十分ある」
○早川正士(電通大名誉教授)本震前にプレート内で起きる地殻の事前破壊を電気的にキャッチして、1週間後の短期予測を行う。
「直近では1月19日から26日までに北海道南部から三陸沖北のエリアで、M5級が予測される」
●神沼克伊火山・極地研究で知られる。M9クラスの地震は「三陸沖から十勝沖、根室沖、千島列島にかけての千島・カムチャッカ海溝沿い。静岡県西部沖から宮崎県の南海トラフ沿い。日向灘から南西諸島海溝沿い。時期は明日なのか百年後かわからない」という。
■地震予知に関しては、国の研究レベルで「巨額な予算をつぎ込む割に、実効性のある予測ができていない」との声も。
■早川氏
「政府が行う長期予測にも、防災、都市計画上の意義はあります。ただし国は短期予測には消極的。様々な観点から地震予測の研究を進めるべきです」
■生田氏
「我々が常識だとだと思っていたことが反故になりました。大地震はいつ、どこでも起こりうるのです」
◆2012.1.23 東大地震研の平田直教授、M7級の首都直下型地震が4年以内に発生する確率が70%に高まったと試算。3.11震災前の、政府の地震研究所の南関東の予測、「M7級の地震が30年以内に70%」より、発生確率は飛躍的に高くなった。今回の試算は、3.11後の現在の地震頻度が、10〜20年程度続くと仮定した場合の数値という。
平田教授は「大震災でひずみが解放され安全になったと考える人もいるが、危険度は依然高く、防災対策をしっかりやるべきだ」と指摘している。
〔産経新聞 1月24日(火)〕
月光天文台 2012.1.24 〔参考:理科年表・平成24年版〕