○こんな本を読んだ

  「暦はエレガントな科学」−石原幸男著/PHP研究所

  2012年1月6日                                

暦はエレガントな科学
 
「暦はエレガントな科学」を読む

      二十四節気と日本人

 昨年の末に、暦の会で知遇を得た著者の石原氏より、この本を送付していただきました。お正月休みに読んでみました。数ある暦関連書の一つですが、石原氏が計算の達人のようで、数字の取り扱いに安心感があります。
 いままで何となく分かったつもりでいたことが、実はよく分かっていなかったことが分かりました。
 ルビも適切にふられ、大変読みやすい文章です(数式はじっくりと読んでみましょう^^)。
 新たな知識・見方により、目からウロコがぽろぽろ落ちたような気がします。

 今年2012年、日本の陰暦と中国の陰暦が食い違っているそうです。4月21日からの朔望のひと月が、日本では閏三月、中国では四月となり、続く5月21日からのひと月は、日本では四月、中国では閏四月となります。これは5月21日の小満(24節気の四月中)の時刻が日本時間では0時16分で、5月21日からの月のひと月(四月)に含まれます。しかし時差のため中国では小満の時刻が、5月20日の23時16分となって4月21日からのひと月に含まれるためです。つまり小満が含まれる朔望のひと月が、陰暦四月になるわけです。
 陰暦をもとにした行事などの観光では、注意が必要でしょう。

 この本には現代の暦、また歴史上の暦を理解する基本的な情報が、簡潔にまとめられています。なかなか専門的なところもありますが、24節気についての理解が深まりました。「光の春」という言葉がありますが、24節気は「光の季節」をエレガントに表現しているのですね。
 この24節気を改変しようという運動があり、石原氏はそれに対し、暦の基礎的な知識を伝え、それがいかに科学的な基盤の上に立っているかを紹介するためにこの本を書いたそうです。(そういえば某公開敷設で、新たな24節気の募集ポスターを見た覚えがあります)。

 現代はいろいろな考え方が共存する時代ですが、伝統的な事物を変える場合、その価値を正しく評価できない場合、大切なものを失う可能性があります。例えば明治の神仏分離令のため、価値ある多くの仏像が無造作に破却されたようなことです。24節気を変えようという動き、どのような帰結を招くか、検討する必要がありそうです。

 より多くの方が暦についての理解を深めてくださるよう、この本をお薦めします。

                  <セツ>

                                                                

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